おそれる
名前を忘れそうだった
名前はかえる場所になる
千と千尋の神隠しがいってた
わかる 名前はほんとうに大切だ
名前ちゃん、と呼ばれるわたしと
苗字さん、と呼ばれるわたしは違う
名前に応じて自分を変えているのか
各自分に応じた名を呼ばせているのか
あだ名で呼ばれるのが好きなのは、きっとちがう自分でいても許された気がするからだろう
ほんとうの名前からいつまでも逃げてるわけにはいかないみたい、子どもじゃないから。
ひとの名前をちゃんと呼ぼうとおもった
ひとの名前をきちんと呼んでなかったことを悔やんだ
存在を否定してなんかなかった
でもそれは肯定していなかったことと同じで
否定することと同じなのかもしれない
自己不全感に殺される
ちぐはぐで不揃いなじぶんたちが
相対して互いを罵り合っている
こんな不毛なことをしていて何になる
自分がひとりだったらどれだけ楽だろう
変われるだろうか
変わるという言葉は不適切なのかもしれない
混じれるだろうか
ひとつの色になりたい
ひとつきのなかで元気に過ごせる時間が短い
自制下に自分がいない期間が長くなってる
こわい
じぶんでじぶんを信じられない 疑う 責める
情けなさで泣いてしまいそうになる
頭ではわかってるんだけどね 言い訳
名前があるとしゃんとする
名前どおり居ようと思える
名前を忘れちゃだめだ
ほんとうの名前があるかぎり
例え地球にひとりぼっちになったって
わたしはわたしであると思える
たぶん
だから名前をよぶよ
わかる
いま置かれている状況がわかる
わたしはわたしのことがわかる
わかる じぶんの体の位置 感覚
わかる わからない わかりたくない
躁から鬱への転換期
神経がざわつく
頭中に「かんがえごと」が満ちる
うるさいな だまってくれ
わたしはすこしいそがしい
ほんとうのわたしはだれ
だれもわたしを冒してくれるな
なりたいわたしは私だ お前じゃない
お前じゃないんだよ これはほんとう
手が在る 足が在る 皮膚も在る
心臓の鼓動 息が抜けていく音
在る だいじょうぶわたしは居る 要る
泣き喚きたい悲しいという感情と
殴りたいほど殺気立った怒りの感情が
くるくるくるくる入れ替わり立ち代り
心の疲弊 だれにも見せたくない
こんな欠落したにんげん
はやく廃棄処分にかけようよ
いや、にんげんとして完成したい
いや、にんげんなんていう俗物はいやよ
頭のバグだから だから だからなに?
だいじょうぶ、選択肢はまだある
だいじょうぶ、何がだいじょうぶ?
おちついて おちつくね ああそうさ
わたしの身体はひとつしかない
はがゆい ああほんとうにはがゆい
桜の木になりたい
海の駅を降りてすぐの離島にそびえ立つ
大きな桜の木になりたい
過去 現在 未来 因果
もうだめなんだとおもう
もう、だめなんだとおもう
戻る自分が見当たらないのに
どんな自分になればいいのか
もうほんとうにわからないよ
せめていい夢を
海の近くに住む夢をみたい
おやすみなさい
雨降る箱庭
わからないことを整理する深さがない
性格だとか特徴だとか 余計混乱する
ただ ただ わからない
酷くなっているのか
目を当ててしまってるだけなのか
くるしく もどかしい はがゆい くやしい
どちらにせよ
過去を克服するには
他人に理解されなければいけないらしい
克服したのではなく
隠しただけだったらしい
幾億回も反芻した出来事を
事実として考え直すのではなく
ウソを抜いたホントだけを嘆いて
胸の棘を抜かなければならないらしい
頭が拒否する
頭の中に横に並んだ魚
一匹一匹がわたしを馬鹿にする
魚は綺麗だ 鱗が虹色で。
こわい
未来がこわい
過去は無色だ
現在は、穴の空いたキャンパス
記憶が抜け落ちる
くるしい 胸がやけるみたい
こんなとき 涙が出たら楽なのか
ただの弱音
忘れたくないことは忘れない
忘れないように、覚えておこう
夢か現か
はるか遠くの方で君の声が聞こえる
くりかえし僕を呼んでる
午睡 / ハンバートハンバート
https://www.youtube.com/watch?v=9Erz0ioEHjo
昨夜、初めて会った女性の家に泊まった。
女性はわたしより歳上で、現在無職。
セピアの似合う懐かしくて優しいひと。
夜集合、朝解散。
話して、寝て、食べて、帰る。
不思議な時間だった。
最寄駅をでて細道を歩き、線路沿いをずっとまっすぐ。女性は、猫を8匹飼っている家の目の前に住んでいる。
密集したアパートの中の細い階段をあがり、お洒落なアンティーク調のドアノブがついた白い扉を開ける。
郷愁
外観も、匂いも、女性そのものも、どこかで見たことあるようで、ないような、懐かしいけど遠い、パラレルワールドみたいな、そんなかんじだった。
たくさんのアロマキャンドルとお香、壁には抜いた自分の親知らずが額に入れられて飾ってあった。
わたしの部屋にそっくりな出窓。出窓にはたくさんのドライフラワーと、本と、ペン。
ドライフラワーの中にあったヒヤシンスの名前が出てこなくて、「ハクビシンみたいな名前のやつ」と思い出せずにいた。イントネーションは同じかも?
写真をあげた。全部かざってくれた。嬉しい。
少ししたらアイスを買いに行った。「うずまきみたいなアイス」が食べたかったらしい。ソフトクリームのことでした。
女性は少し疲れやすくて、帰り道の途中、いつもここに座っているんだという橋の真ん中でタバコを吸った。アメスピ。
いろんな話をした。いろんな質問をしてくれた。関心を持ってくれるのは嬉しい。自分で前髪を切るのはやめて今度は美容院に行った方がいいですね、とか。木登りって得意だったっけ、とか。普段みる夢のはなしとか。思ったよりずっと話すことがたくさんあった。ふしぎ。
ふしぎといえば、部屋の構造がわたしの部屋とそっくりで、寝るとき自分の部屋にいるみたいだった。だからいつも通りすこし遅くまで寝れなかった。女性は床でミノムシみたいに布団にくるまって寝ていた。寝相が悪いそうで、たしかに時折ベットが揺れた。蹴っていた、ベットを。
わたしの部屋なのにわたしの部屋じゃなかった。もっとずっと綺麗で、こんな風がいいなって空間だった。
女性とわたしはすこし似ている。思いのままに、衝動的に、綺麗なところへ、穏やかなところへ、裸足で走っていく感じ。とおってきた道も少し似ていて、それでいて私の憧れる女性像だった。
わたしはベット、女性はその隣の床で寝ていた。その図をぼんやりみていて、「もう一人の自分」がいるような感覚がした。未来の自分、というよりも、私の姉というよりも、もう一人の自分。私がそこに寝ていた気がした。
夢か現か。
いつ寝たことだろうか、わからないけど、朝になったから部屋がよく見えた。本棚にたくさん入った小説たち。本を読むひとはかっこいいなってやっぱり思う。
起きたら朝食がでてきた。布団の上に小さな椅子みたいなお洒落なちゃぶ台を置いて、お洒落な朝ごはんを食べた。
豚の角煮の入ったパン、ベーコン、目玉焼き、アボカドとトマトのクリームとチーズもついてた。あと、豆苗。夢見ながら女性が料理している音を聞いてた気がする。
美味しくないものがあったらお構いなく残してくださいね、と言われた。もちろん全部食べた。美味しいからすごく早く食べ終わった。でもなんだかすごくゆっくり時間が流れてた。
気がする。
ふしぎ。ふしぎだな。相変わらず寝れなかったけど、久しぶりに夢を見なかった。ふしぎ。
いまは帰り道にいる。夢から現へもどっている。髪の毛にお香とバニラの匂いが 染みていて、心地いい。さっきからなんども嗅いでいる。夢の匂い。
そのあと女性は「いい匂いを置いて帰ってくれてありがとう」と言ってくれた。会った時からすごくいい匂いがする言ってくれた。はじめていわれた。こちらこのいい匂いをお土産にくれてありがとうです、だ。
眠くなる声ですね、と言われた。あと、声が高いと言ってくれた。うれしい。いつも低いと言われるから、嬉しい。
また行きたい。
寝れないあいだはいろんなことを考える。「夜迷言」だ。なんちゃって。でもわりと気に入った。
わたしは優しくなりたい。ほんとうの優しいひとになりたい。毒を吐いていい相手になりたい。毒を薬に変えてみせたい。毒を毒じゃないと思わせたい。
強欲も、矛盾も、後悔も、誰にでもあるもの。誰にでもあるのに、独り言でだって「ほんとうの気持ち」をぼやけない人達がいる。ひとえに「否定されたくないから」だとおもう。その先に、好かれたいがあるからだとおもう。
馬鹿らしい話だ。
嫌で嫌いでどうしようもないものもいざとなると上手くキライと言えやしない。立場とか、関係とか、気持ちとか。いろいろ。だから「ほんとじゃないこと」がでてくる。「ほんとじゃないこと」は「うそ」じゃない。でも、ほんとじゃない。たぶんそれがたまに毒になり、癌になる。
毒をのみたい。
たとえ目に見えてることが嘘だとしても
その瞬間は本当にしてくれてるのだから
その本当を喜ぼうと思う
そんな、夜迷事。
ごきげんようまたいつか。